私は「アメリカ英語」を「英語」と思って育った世代に属する。学校教育で習った英語は「アメリカ英語」だった。受験英語から脱すべく「話せる英語」を学んだNHKラジオ英語講座も「アメリカ英語」だった。日本にいる間、私自身は「アメリカ英語」ではなく、「英語」を習っているものと思っていた。(現在の英語教育・学習はもっと多様化しているかもしれませんね。)
日本を飛び出して30年。発音も語彙も慣用表現も違う、色々な英語に触れてきた。アメリカ英語、イギリス英語、南アフリカ英語、オーストラリア英語、ニュージーランド英語、カナダ英語、シンガポール英語・・・。ひとつの国の中でも、地域によって発音や語彙が結構違っていたりする。イギリス英語の場合は階級によって発音が異なる。
ニューヨークに住んでいた頃、ある日同僚が職場に来なかった。「ユダヤ教の祝日だからだよ」と別の同僚。「え? 彼はユダヤ系なの?」と私。
「話し方がモロ、ユダヤ系ニューヨーカーじゃないか。」
「ユダヤ系ニューヨーカーの発音ってあるの?」
「今、君が話しているのは、ユダヤ系ニューヨーカーの英語だよ。」
知らず知らずのうちに、私の英語は周囲のユダヤ系ニューヨーカーに影響を受けていたのだ。
南アフリカに移って来てからは、意識して南アフリカの英語を身に着けた。しかし、英語を第1言語とする南アフリカ人の間でも、その発音は様々だ。
ある日、ジョハネスバーグの空港で知り合いに出くわし、しばらく言葉を交わした。さよならを言った後、一緒にいた友人曰く、「あの、イーストランド(ジョハネスバーグの東の地域)出身の、中の中階級のユダヤ系女性をどうして知ってるの?」 発音から出身がわかったという。
随分前のことだが、BBCのスコットランド系特派員がケンブリッジ大学出身の花形特派員のことをこう言っていた。「あいつは質の高い公立高校の出身だよ」。ケンブリッジ大学風の「中流上」(upper middle class)っぽい英語に矯正しているものの、ある母音の発音が良い公立学校、つまり「中流中の上の方)のものだというのである。因みに、「上流」(upper class)は貴族を指す。
なかなか外国人には難しい。
そこまで微妙でなくとも、英語の2大流派(?)、アメリカ英語とイギリス英語の間では語彙がかなり違う。例えば、「スニーカー」(sneakers)はアメリカ英語。イギリスでは「トレーナー」(trainers)。「ゴミ」はアメリカで「ガーベッジ」(garbage)、イギリスでは「ラビッシュ」(rubbish)。日本でいう「ポテトチップス」(potato chips)はアメリカ英語。イギリスでは「クリスプ」(crisp)。イギリスで「チップス」(chips)と呼ばれるものは、アメリカでは「フレンチフライ」(French fries)。アメリカで「ファーストフロア」(first floor)というと日本の「1階」だが、イギリスでは2階のことだ。1階は「グランドフロア」(ground floor)。
以下は、アメリカ人が理解できないイギリスの慣用表現の例。
You're all bum and parsley (君はお尻とパセリの塊だ)
スコットランドの表現で「口数の多い自慢屋」の意。
2017年2月18日土曜日
2017年1月15日日曜日
プレトリア大学日本研究センターのプログラムディレクターを務めていた2012年、ブランド名開発専門家の横井恵子氏を招いて講演会を開いたことがあった。「NTT DoCoMo」「りそな銀行」「あいおい損保」などの社名、「au(KDDI)」「BIGLOBE(NEC)」「XXIO/ゼクシオ(SRIスポーツ)」「AIRism(ユニクロ)」「CHAdeMO/チャデモ(トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車ほか)」などのブランド名の名付け親だ。
横井氏曰く、人々の心に届く共感を得る名前を開発するには、「S・O・U・L」の視点で、名前に「SOUL(魂)」を込めることが大切。具体的には次の4点である。
横井氏曰く、人々の心に届く共感を得る名前を開発するには、「S・O・U・L」の視点で、名前に「SOUL(魂)」を込めることが大切。具体的には次の4点である。
・Sensibility(感性):全体像を感性でつかむ
・Originality(個性):独自性を発揮できる要素を導き出す
・Utility(実用性):顧客にとっての実用性を検証する
・Logic(論理性):言葉を論理的に組み立て説得性を高める
世界の有名ブランド名も、この4つの条件を考慮しながら選ばれたのだろうか。・Originality(個性):独自性を発揮できる要素を導き出す
・Utility(実用性):顧客にとっての実用性を検証する
・Logic(論理性):言葉を論理的に組み立て説得性を高める
2015年7月25日土曜日
「数独」と「絵文字」に共通するのは・・・?
どちらも日本語と意識されることなく、「sudoku」「enoji」として世界中で使われている言葉だ。「anime」や「manga」や「otaku」も、「sudoku」や「emoji」より使用者が限定されるものの、今や世界語である。
前世紀の後半に、日本の「エコノミックミラクル」(economic miracle)が世界の驚異を呼び起し、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(Japan As Number One)なんて本がもてはやされた時期があったが、その頃でも、今ほど世界に通用する日本語はなかったように思う。
特に「emoji」の浸透は、メールやソーシャルネットワークなど、普通の人の日常生活と密着しているためか目覚ましい。
絵文字は世界中で使われているが、国によって使う絵文字の種類は違うのだろうか?
・・・とか思って探したら、絵文字による国民性調査が見つかった。2014年10月から2015年1月までの4か月間、16の言語・地域において、アンドロイドとiOSのデバイスで使われた10億の絵文字を分析したもの。世界には800以上に絵文字があるという。それをこの調査では60のカテゴリーに分けている。
まず、どの絵文字がよく使われているのか。
ナンバーワンは「スマイリー」。世界中で使用された絵文字の44.8%がスマイリーなのだ。次いで、「悲しい顔」(14.33%)、「ハート」(12.5%)、「手のジェスチャー」(5.3%)。
どちらも日本語と意識されることなく、「sudoku」「enoji」として世界中で使われている言葉だ。「anime」や「manga」や「otaku」も、「sudoku」や「emoji」より使用者が限定されるものの、今や世界語である。
前世紀の後半に、日本の「エコノミックミラクル」(economic miracle)が世界の驚異を呼び起し、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(Japan As Number One)なんて本がもてはやされた時期があったが、その頃でも、今ほど世界に通用する日本語はなかったように思う。
特に「emoji」の浸透は、メールやソーシャルネットワークなど、普通の人の日常生活と密着しているためか目覚ましい。
絵文字は世界中で使われているが、国によって使う絵文字の種類は違うのだろうか?
・・・とか思って探したら、絵文字による国民性調査が見つかった。2014年10月から2015年1月までの4か月間、16の言語・地域において、アンドロイドとiOSのデバイスで使われた10億の絵文字を分析したもの。世界には800以上に絵文字があるという。それをこの調査では60のカテゴリーに分けている。
まず、どの絵文字がよく使われているのか。
ナンバーワンは「スマイリー」。世界中で使用された絵文字の44.8%がスマイリーなのだ。次いで、「悲しい顔」(14.33%)、「ハート」(12.5%)、「手のジェスチャー」(5.3%)。
2015年3月30日月曜日
外来語の起源を探るのは、結構意外な発見があって楽しいものだ。
たとえば、「カルテ」と「カルタ」と「カード」。原語の意味は同じなのに、日本語では違った用途に使われている。
ドイツ語の「カルテ」(Karte)は「医師が診断した患者の病状・処置・経過などを記入しておく記録簿」、ポルトガル語の「カルタ」(carta)は「遊びやばくちに使う、絵または文字がかかれている長方形の小さな札。また、それを使った遊びやばくち」、英語の「カード」(card)は「一定の用途のもとに、四角く切りそろえた小型の厚紙や札」。(定義はいずれも明鏡国語辞典から。広辞苑より定義が短かったという、それだけの理由です。)
「アンケート」(enquête)、「アトリエ」(atelier)、「コンクール」(concours)などはフランス語から。英語だとそれぞれ「questionnaire; survery」「art studio」「contest; competition」。
外来語の中には、原語と意味が全く違うものも多い。「アベック」は「~と一緒に」を意味する、フランス語の前置詞「avec」から。男女が「一緒にいる」という連想だろうか。一体誰による造語なのか。
「mansion」は「大邸宅」を意味するが、日本語の「マンション」は「分譲形式の集合住宅」。頭に浮かぶのは都会の鉄筋高層ビルだろうか。日本では賃貸だと「アパート」、所有していれば「マンション」と使い分けている。イギリスや南アフリカでは、アパートの名前に「the Victoria Mansions」などと複数形で使われることもある。アメリカやカナダでは日本語の「マンション」を「コンドミニアム」(condominium)、略して「コンド」(condo)という。
「カバン」「ランドセル」「ズック」はオランダ語の「kabas」「ransel」「doek」から。
漢字だってあるし、どうみても日本語なのに実は外来語、というものもある。たとえば「お転婆」。オランダ語で「御しえない;不屈の;負けん気が強い」を意味する「ontembaar」が起源とか。
・・・キリがないのでこの辺で止めておく。
最近「発見」して楽しくなったのが「ホッチキス」。英語では「stapler」。JIS規格上の名称は「ステープラ」。NHKでは「ホチキス」で統一しているとのこと。「ステープラ」「ステープラー」より「ホッチキス」「ホチキス」の方が断然一般的である。
ホッチキスの語源については、前々から気になっていた。どこかの国の言葉で「ホッチキス」と呼ばれているのが日本語に導入されたのか、それとも商標名かメーカー名なのか。明鏡国語辞典には「アメリカの発明家ホッチキスの名に由来する商標名」とある。
たとえば、「カルテ」と「カルタ」と「カード」。原語の意味は同じなのに、日本語では違った用途に使われている。
ドイツ語の「カルテ」(Karte)は「医師が診断した患者の病状・処置・経過などを記入しておく記録簿」、ポルトガル語の「カルタ」(carta)は「遊びやばくちに使う、絵または文字がかかれている長方形の小さな札。また、それを使った遊びやばくち」、英語の「カード」(card)は「一定の用途のもとに、四角く切りそろえた小型の厚紙や札」。(定義はいずれも明鏡国語辞典から。広辞苑より定義が短かったという、それだけの理由です。)
「アンケート」(enquête)、「アトリエ」(atelier)、「コンクール」(concours)などはフランス語から。英語だとそれぞれ「questionnaire; survery」「art studio」「contest; competition」。
外来語の中には、原語と意味が全く違うものも多い。「アベック」は「~と一緒に」を意味する、フランス語の前置詞「avec」から。男女が「一緒にいる」という連想だろうか。一体誰による造語なのか。
「mansion」は「大邸宅」を意味するが、日本語の「マンション」は「分譲形式の集合住宅」。頭に浮かぶのは都会の鉄筋高層ビルだろうか。日本では賃貸だと「アパート」、所有していれば「マンション」と使い分けている。イギリスや南アフリカでは、アパートの名前に「the Victoria Mansions」などと複数形で使われることもある。アメリカやカナダでは日本語の「マンション」を「コンドミニアム」(condominium)、略して「コンド」(condo)という。
「カバン」「ランドセル」「ズック」はオランダ語の「kabas」「ransel」「doek」から。
漢字だってあるし、どうみても日本語なのに実は外来語、というものもある。たとえば「お転婆」。オランダ語で「御しえない;不屈の;負けん気が強い」を意味する「ontembaar」が起源とか。
・・・キリがないのでこの辺で止めておく。
最近「発見」して楽しくなったのが「ホッチキス」。英語では「stapler」。JIS規格上の名称は「ステープラ」。NHKでは「ホチキス」で統一しているとのこと。「ステープラ」「ステープラー」より「ホッチキス」「ホチキス」の方が断然一般的である。
![]() |
| 針なしを含めると、机のまわりに5個もあった |
ホッチキスの語源については、前々から気になっていた。どこかの国の言葉で「ホッチキス」と呼ばれているのが日本語に導入されたのか、それとも商標名かメーカー名なのか。明鏡国語辞典には「アメリカの発明家ホッチキスの名に由来する商標名」とある。
2014年6月7日土曜日
20年以上昔の話だが、ニューヨークの某語学学校で日本語と英語を教えていたことがあった。英語を日本人に、日本語をアメリカ人その他に教えていたのだ。
学校の事務員のキムさんは、日本語が流暢な韓国人。とてもいい人なのに、時々、心がグサッとくるような発言をする。「そんなこと、言う人じゃないのに・・・」と注意してみると、原因はちょっとした日本語の言い回しにあった。ほんの小さな言い回しのせいで、とても非人情に聞こえるのだ。勿論、本人は気がついていない。ネイティブ並みの流暢さのために、聞いている日本人も、まさか言い回しを間違っているとは気がつかない。知らないうちに、すごい損をしている。
アメリカの大学の英語教授法修士課程で、第2外国語習得のセオリーと、教え方のテクニックや実技を随分勉強したが、その時、外国語を話す上で、「正確さ」(accuracy)、「流暢さ」(fluency)、「適切さ」(appropriacy)の3つが大切であることを教わった。
実習で中級のクラスを教えた時、出身国の文化や伝統が会話能力に大きく影響していることに気がついた。日本人やタイ人の学生は、元々、授業で積極的に話すことに慣れていない。その上、文法的に正確な英語を話そうとするあまり、恐れて口を開かず、口を開いても小さい声でボソボソ。一方、コミュニケーションに長ける中南米の学生は、手振り身振り入りで、立て板に水のように流暢に話しまくるが、文法はめちゃめちゃ。うまくコントロールしないと、授業はラテンアメリカンに乗っ取られてしまう。
時間をかけて勉強すれば「正確さ」は身に付く。間違いを恐れずに場をこなせば、「流暢さ」は身に付く。体で覚えるしかないのが、「適切さ」である。状況に合った表現を使い、「文法的には正しいけど、普通、そうは言わない」という事態やとんでもない誤解を避けるためには、英語を沢山聞いて、沢山読んで、フィーリングを掴むしかないのである。
それでも、日本にいながら英語を体で覚えるのは至難の業。なにか良い教材はないかなと思っていたら、「Business Insider」に素晴らしい記事があった。日本人が間違って使いやすい、文法的には正しいが言いたいこととはかけ離れた英語表現を分析し、それではどう言うば良いのかが説明してある。
学校の事務員のキムさんは、日本語が流暢な韓国人。とてもいい人なのに、時々、心がグサッとくるような発言をする。「そんなこと、言う人じゃないのに・・・」と注意してみると、原因はちょっとした日本語の言い回しにあった。ほんの小さな言い回しのせいで、とても非人情に聞こえるのだ。勿論、本人は気がついていない。ネイティブ並みの流暢さのために、聞いている日本人も、まさか言い回しを間違っているとは気がつかない。知らないうちに、すごい損をしている。
アメリカの大学の英語教授法修士課程で、第2外国語習得のセオリーと、教え方のテクニックや実技を随分勉強したが、その時、外国語を話す上で、「正確さ」(accuracy)、「流暢さ」(fluency)、「適切さ」(appropriacy)の3つが大切であることを教わった。
実習で中級のクラスを教えた時、出身国の文化や伝統が会話能力に大きく影響していることに気がついた。日本人やタイ人の学生は、元々、授業で積極的に話すことに慣れていない。その上、文法的に正確な英語を話そうとするあまり、恐れて口を開かず、口を開いても小さい声でボソボソ。一方、コミュニケーションに長ける中南米の学生は、手振り身振り入りで、立て板に水のように流暢に話しまくるが、文法はめちゃめちゃ。うまくコントロールしないと、授業はラテンアメリカンに乗っ取られてしまう。
時間をかけて勉強すれば「正確さ」は身に付く。間違いを恐れずに場をこなせば、「流暢さ」は身に付く。体で覚えるしかないのが、「適切さ」である。状況に合った表現を使い、「文法的には正しいけど、普通、そうは言わない」という事態やとんでもない誤解を避けるためには、英語を沢山聞いて、沢山読んで、フィーリングを掴むしかないのである。
それでも、日本にいながら英語を体で覚えるのは至難の業。なにか良い教材はないかなと思っていたら、「Business Insider」に素晴らしい記事があった。日本人が間違って使いやすい、文法的には正しいが言いたいこととはかけ離れた英語表現を分析し、それではどう言うば良いのかが説明してある。
2014年4月24日木曜日
日本語には冠詞も、単数と複数の区別もないから、「犬」は「犬」である。なんと楽なことか! しかし、冠詞、複数と単数の区別、格変化などがある言語では「犬」が「犬」で済まない。
その良い例が、この漫画。(元ネタはimgru.com)
イギリスとスウェーデンが立ち話(?)をしている。
イギリスが何故か突然、「a dog」「the dog」「two dogs」と言い出す。「犬が一匹」、「その犬」(単数)、「犬が二匹」(複数)というわけだ。英語には不定冠詞の「a」、定冠詞の「the」、複数形を表す「-s」があるため、この3通りが可能である。(「the dogs」を入れると4通りだが、この漫画には含まれていない。)
スウェーデンが応える。スウェーデン語だと、同じことが4通りの言い方で表現できる。
そこに現れたのが、ドイツ。ドイツ語の名詞は格変化する。主格、属格、与格、対格の4つあるので、「犬」はもっと多くの言い方で表すことができる。
「おもしろそうじゃん!」と顔を出したのが、フィンランド。さて、なにが起こるか。下をご覧ください。
その良い例が、この漫画。(元ネタはimgru.com)
イギリスとスウェーデンが立ち話(?)をしている。
イギリスが何故か突然、「a dog」「the dog」「two dogs」と言い出す。「犬が一匹」、「その犬」(単数)、「犬が二匹」(複数)というわけだ。英語には不定冠詞の「a」、定冠詞の「the」、複数形を表す「-s」があるため、この3通りが可能である。(「the dogs」を入れると4通りだが、この漫画には含まれていない。)
スウェーデンが応える。スウェーデン語だと、同じことが4通りの言い方で表現できる。
そこに現れたのが、ドイツ。ドイツ語の名詞は格変化する。主格、属格、与格、対格の4つあるので、「犬」はもっと多くの言い方で表すことができる。
「おもしろそうじゃん!」と顔を出したのが、フィンランド。さて、なにが起こるか。下をご覧ください。
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