2015年9月6日日曜日

国や地域によってこんなに違う 若くして死ぬ原因

毎日世界中で約15万人が死亡している。しかし、どの年齢で、どのように死ぬかは、その人がどの国に生まれ育ったかに左右されるという。

ワシントン大学(University of Washington)の医療研究機関「IHME」(Institute for Health Metrics and Evaluation)」では、世界保健機関(WHO)のために「GBD」(The Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study)という調査を実施している。 世界108か国、計千人以上の科学者の協力を得て、病気の現状と傾向を調査するものだ。

GBDでは2013年の国別「損失生存年数」(Years of Life Lost)を発表した。「損失生存年数」とは「早死によって失われた潜在的な年数」のこと。

「早死によって失われた年数」=「現実的に見て、生きる可能性がある最長年齢」-「実際の死亡年齢」

例えば、86歳まで生きる可能性のある人が交通事故で21歳で死んだ場合、86-21=65が「早死により失われた年数」と計算される。数が大きいほど、早すぎる死を迎えたことになる。

「生きる可能性がある最長年齢」とは「標準平均寿命」(standard life expectancy)のこと。「ウィキペディア」には「日本人の平均余命が世界で最も長いので、日本人の平均余命が早死の評価の基準値として使われている」とあるが、本当だろうか。

GBDが注目したのは「失った人生」の長さばかりではない。早死の原因も分析した。その結果がこれ。(画像はすべてVox「The #1 reason people die early, in each country」から)



アフリカでは肺炎、下痢、マラリアなど、医療制度が整った国では簡単に治療できる病気が死因のナンバーワンになっている。しかも、死者10名のうち4名が15歳未満




サウジアラビアでは人口の半数(女性)が運転を許されていないのにもかかわらず、国民全体の早死原因ナンバーワンは「交通事故」。道路で無茶をするのを競う風潮が若者の間にある上、スピード制限がない。そのため、1日に19人もが交通事故で死亡している。


因みに、サウジアラビアの人口は約2900万人。同じ年、その10倍近い人口を持つ日本での交通事故死者数は1日11.98人だった(全国日本安全協会)。近隣のカタール、アラブ首長国連合(UAE)、オマーンでも交通事故が若年死亡原因の一位という。

ベネズエラで早死する原因のナンバーワインは「暴力」。年間2万人が殺人の被害者となるお国柄だ。犯罪の8%しか起訴されないとあっては、ギャングがのさばるわけである。お隣のコロンビアでも似た状況という。

シリアの若死原因第一位は「戦争」。やっぱり。。。

一方、中国人が早死にする原因の第一位は「脳卒中」。急速な経済発展に伴い、医療が向上し、アフリカで見られるような感染病が激減し、人々は長生きするようになった。だが、生活が豊かになるにつれて、脂肪や糖分の摂取量が増加し、運動不足になり、また、大気汚染がひどいために有害な空気を吸っていることなどが脳卒中増加に貢献している。

豊かな国では一般に、「心臓病」が早死原因のナンバーワン。とはいっても、心臓病になるのは年寄りが多い。つまり、豊かな国での「早死」は、あまり若くない。


「心臓病」が早死の原因第1位の国々

「マラリア」「早産」「HIVエイズ」「下痢」「肺炎」が早死の原因第1位の国々

 感染病や戦争で命を落とす子供たちが多いのは悲しいが、世界的に見ると「失われた人生の時間」はどのカテゴリーでも減少傾向にあり、世界中で寿命が延びているという。


発展途上国で医療体制が確立され、中東に平和がもたらされれば、早すぎる死を迎える人が益々少なくなるだろう。(サウジアラビアの若者には交通規則を守らせ、ベネズエラやコロンビアでは警察にしっかりしてもらいたい。豊かな国では、個々人が健康管理に取り組むしかない。。。)

とはいっても、世界72億人の「損失生存年数」がこぞってゼロに近くなったら、それはそれでとてつもない大きな問題が出てくるだろうが。。。

(参考資料:Vox「The #1 reason people die early, in each country」など)

【関連ウェブサイト】
The Institute for Health Metrics and Evaluation (IHME)
Global Burden of Disease (GBD)
World Health Organization (WHO)

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