どちらも日本語と意識されることなく、「sudoku」「enoji」として世界中で使われている言葉だ。「anime」や「manga」や「otaku」も、「sudoku」や「emoji」より使用者が限定されるものの、今や世界語である。
前世紀の後半に、日本の「エコノミックミラクル」(economic miracle)が世界の驚異を呼び起し、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(Japan As Number One)なんて本がもてはやされた時期があったが、その頃でも、今ほど世界に通用する日本語はなかったように思う。
特に「emoji」の浸透は、メールやソーシャルネットワークなど、普通の人の日常生活と密着しているためか目覚ましい。
絵文字は世界中で使われているが、国によって使う絵文字の種類は違うのだろうか?
・・・とか思って探したら、絵文字による国民性調査が見つかった。2014年10月から2015年1月までの4か月間、16の言語・地域において、アンドロイドとiOSのデバイスで使われた10億の絵文字を分析したもの。世界には800以上に絵文字があるという。それをこの調査では60のカテゴリーに分けている。
まず、どの絵文字がよく使われているのか。
ナンバーワンは「スマイリー」。世界中で使用された絵文字の44.8%がスマイリーなのだ。次いで、「悲しい顔」(14.33%)、「ハート」(12.5%)、「手のジェスチャー」(5.3%)。
スマイリーや悲しい顔の解釈が文化によって異なることはまずあり得ないが、果物とか野菜などは文化によって連想・意味するものが違うかもしれない。「掲げた拳」「桃」「茄子」「かに座」の使用度をアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアで比べたのがこれ。
同じ英語圏で文化的にも近そうなのに、違いがあるのが興味深い。特に、「かに座」の使用頻度がイギリスとカナダでかなり違う。
他にも、例えばこんな発見があった。
カナダ人は他の誰よりも「うんち」絵文字を使う。また、「金」「卑猥」「暴力」「スポーツ」という、一般的にアメリカを連想させるカテゴリーの絵文字を一番多く使うのは、実はカナダ人。
フランス人は平均の4倍も「ハート」絵文字を使う。更に、フランスは「スマイリー」が第1位でない唯一の国。
アメリカ人は、「頭蓋骨」「バースデーケーキ」「火」「テクノ」「肉」を表す絵文字や、女性的な絵文字の使用度が世界一。
これは手のジェスチャーの比較。
これはアルコール絵文字の比較。
イスラム教のトルコで、アルコール絵文字が余り使われないのはさもありなん。
これはジャンクフードの比較。
どの「パーティー」絵文字が好きかにも、国民性が表れる。
寒いロシアでは、さすがに「雪」絵文字がよく使われるな~。
北欧諸国も「雪」絵文字を良く使うのだろうか?
更に、以下の発見もあった。
- アラビア語を使う人は「花」「植物」の絵文字を平均の4倍も使う。
- ロシア語を使う人は「ロマンチック」な絵文字を平均の3倍も使う。
- オーストラリア人は「アルコール」関連の絵文字を平均の2倍使う。また、「麻薬」関連の絵文字を平均より65%も多く使う。「ジャンクフード」「休暇」関連の絵文字使用頻度でも、世界一。
- LGBT関係の絵文字を誰よりも使うのはアメリカ人。
* * * * * * *
絵文字による国民性分析は、博士論文が書けそうなくらい奥が深そうだ。
しかし、この調査はどうやって情報を集めたのだろう。何気なくSNSやメールで使っている絵文字情報が、第3者にいとも簡単に入手されてしまうのだろうか。ちょっと恐ろしい気がする。
この調査の完全版はこちらをご覧ください。
【関連ウェブサイト】
SwiftKey Emoji Report
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癌じゃなくてかに座じゃないんですかね……
返信削除絵文字からすると、仰る通りですね。訂正しておきます。ご指摘ありがとうございました!(なぜ他の星座じゃなくて「かに座」なんだ?という疑問から、「癌」の絵文字がないために、代わりに同じ読みの「かに座」が使われているのかと深読みしてしまいましたが、深読みし過ぎでした。)
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