そんな思いから生まれたのが「インターナショナル・ナンバーワンズ」(International Number Ones)。デイヴィッド・マッキャンドレス(David McCandless)が「information is Beautiful」というウェブサイトに、2009年から発表している。
最新の2016年版はこれ。
データはCIA、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)、ブルームバーグ(Bloomberg)、国連、エコノミスト(The Economist)、世銀、ロイター(Reuters)、BBC、フォーブズ(Forbes)、ガーディアン(The Gardian)、ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)その他の資料から収集・集計したという。
ランキングの元になった数字の殆どは、国民一人当たり、または人口に対する割合。中には、「総人口」など、国全体の合計もある。
日本は「高級料理」(Haute Cuisine)で世界一。理由は、世界のどの国よりもミシュラン3つ星レストランが多いから。
私が住む南アフリカは「プラチナ」(Platinum)。実は、2016年版が最初に発表された時には「死」(Death)だった。その後、最新データが公表され、不名誉な第1位から免れたらしい。
そう、「世界一」といっても、必ずしも良いことばかりではないのだ。
「世界一」の分野は、次の9つに大きく色分けされている。
第一次産品 (Commodity)
心理状態 (Psychology)
エコロジー (Ecology)
料理 (Gastronomy)
経済 (Economy)
人間性 (Humanity)
テクノロジー (Technology)
素敵なもの (Nicety)
嫌なもの (Nasty)
心理状態 (Psychology)
エコロジー (Ecology)
料理 (Gastronomy)
経済 (Economy)
人間性 (Humanity)
テクノロジー (Technology)
素敵なもの (Nicety)
嫌なもの (Nasty)
「第一次産品」と「料理」の色は大層似ている。(というか、・・・同じ?) 一目ではっきり違いが判る色にしてくれれば良いのに。
「素敵なもの」が世界一になっているのは、スェーデン「ポップ音楽」、フィンランド「報道の自由」、ドイツ「パスポート」、クロアチア「肝臓・腎臓移植」、イスラエル「医学研究」、パナマ「引退生活」、シンガポール「健康」、マレーシア「ゴム手袋」・・・。
ゴム手袋・・・? う~ん、いまいちわからない。多分、最初の7つのカテゴリーに当てはまらないものを、「素敵なもの」か「嫌なもの」に分類したのだろう。
超大国アメリカ合衆国は何の世界一かというと、「スパムメール」! 全スパムの14.6%がアメリカで発生しているのだ。アメリカはこの他にも色々世界一がある。例えば、「民間人の銃保有」「ゴミ」「肉の消費量」「水の消費量」・・・。銃と消費の大国、あまり良いイメージではないなあ。
GDP世界2位の中国も、色んな分野で世界一を誇る。地図に載っているのは、「服役中のジャーナリスト」。その他には、「総労働人口」「総エネルギー消費量」「総テレビ台数」「人口の多い都市数」「輸出」「総人口」「総漁獲量」・・・。巨大な人口にものを言わせ、生産と消費に明け暮れる、言論・報道の自由が抑圧された社会が浮かび上がる。
アメリカ、中国以外で「嫌なもの」が世界一なのは、ホンデュラス「殺人」、スーダン「児童労働」、シエラレオネ「妊婦の死亡」、アンゴラ「幼児の死亡」、スワジランド「HIV」、オーストラリア「ネットセキュリティ問題」・・・。
変わり種はモンゴルの「ベロキラプトル」(Velociraptors)。「白亜紀後期の小形の二足歩行肉食恐竜」だ。その化石が世界のどこよりもたくさん見つかっているとか。「恐竜」=「怖い」というこじつけで「嫌なもの」カテゴリーに入れられてしまったのか。モンゴルは他に一番になることが何もないのかなあ。きっとあるのだろうけど、マッキャンドレス氏が使った資料には出てこなかっただけなのだろう。
生活するのに嬉しいのは、オーストリア「有給休暇」、ブルガリア「産休」(410日!)、カナダ「個人の自由度」、コスタリカ「福利」(長寿、幸福、持続可能性の総合点)、キューバ「医師」、アイルランド「労働条件」・・・。
意外なところでは、アルメニア「ソフトウェア著作権侵害」、ベラルーシ「アルコール消費量」、ブータン「余剰エネルギー」、ブルンジ「タバコの値段」、コロンビア「幸せ」、チェコ「退廃」(飲酒、喫煙、ギャンブル、麻薬の総合点)、グリーンランド「税収」(GDPの79.6%)、イラン「キャビア産出量」、イタリア「キーウィーフルーツ生産量」、ナミビア「車の衝突による死亡」、ノルウェー「ビザ消費量」、パキスタン「ゲイポルノ鑑賞」、クウェート「ツィッター数」、ナイジェリア「スクラブル愛好者」・・・。
ナイジェリアと言えば、「ノリウッド」(Nollywood)。年間制作映画数がインドに次いで世界2位。劇場公開されず、直にDVDになる映画が多いと聞いていたので、ナイジェリア人の娯楽ナンバーワンは家庭での映画鑑賞ではないかと勝手に想像していたが、語のつづり替えを競う「スクラブル」(Scrabble)が大人気とは、かなり意外だった。
バハマの「金持ちのアメリカ人観光客」には、思わず笑ってしまった。成金が集う姿を想像してしまう。もっとも、億万長者数世界一はアメリカではなく、イギリス(人口に対する割合)。イギリスは「政府の透明度」と「シャンパン」(消費量か?)でも一位になっている。
飢餓とか貧困とか、先進国にはあまり良いイメージを持たれておらず、悲しいナンバーワンも多いアフリカだが、ルワンダ「女性国会議員数」、ウガンダ「起業家」、ザンビア「女性起業家」(新規ビジネスの40.7%)、チャド「健康的な食生活」など、結構頑張っている国もある。タンザニアの「女性労働者」(労働人口の88.1%が女性)はどう解釈するべきか。
一番心が温まったのは、ビルマ(ミャンマー)の「慈善行為」。慈善的寄付をした人の割合が、世界で一番高いというのだ。ごく最近まで長期の軍事政権に抑圧され、経済的にも取り残された感のある発展途上国の国民が、世界で一番他人に優しい。国民性だろうか。施しを重んじる仏教の影響だろうか。幸せとはなんだろう、優しさとはなんだろう。考えされられる。
【関連ウェブサイト】
Information is Beautiful
International Number Ones (全リスト)
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