しかし、逆さまになって平気そうな動物もいる。すぐに頭に浮かぶのがコウモリとナマケモノ。大丈夫なのだろうか。
『ナショナル・ジオグラフィック』(National Geographic)でその答えを見つけた。
まず、なぜ逆さになると頭がクラクラするのか。
人間の大人の体には、平均して約7.5リットルの血が流れている。逆立ちなどすると、それだけの量の液体が一度に頭方向に流れてくるので、気持ちが悪くなるという。
(National Geographic) |
コウモリはまた、逆さになっても疲れない体の構造を持っている。足の腱が特別な作りになっているため、頭が真下の状態で、身体が完全にリラックスしているというのだ。逆に、頭を上にして座ってしまうと、飛ぶために筋肉を収縮する必要があり、余分なエネルギーがかかってしまう。この腱は超優秀。逆さ状態で死んでしまっても、落っこちないでつかまっていることができる。だから、コウモリにとって、逆さま人生の方が楽なのだ。
では、ナマケモノは? 体長41‐74センチというと、ネコくらいの大きさか。さすがに逆さ状態では、頭に血が上るのでは?
ワシントンDCのスミソニアン博物館内国立動物園(National Zoological Park)のドン・ムーア(Don Moore)によると、実は、ナマケモノは一般に思われているほど、逆さになっている時間が長くないそうだ。そして、移動のため逆さになる場合でも、あまりにも動作がゆっくりなので中耳が常に安定しており、頭がクラクラしないとのこと。
また、指が2本の「フタユビナマケモノ科」(Megalonychidae)は、動くときいつも鼻を下に向けている。指が3本の「ミユビナマケモノ科」(Bradypodidae)はもっとすごい。地面に平行に移動する時、首を180度回転させるのだ。つまり、木の枝にぶらさがっているのに、頭のてっぺんが下に向いていない。(ウィキペディアによると、「首を270度回転させることができるため、体を動かさずに周りの葉を食べることができる。」)いずれにせよ、頭に血が上ることはない。
ナマケモノはあまりにゆっくり動くせいか、毛皮に藻類が生えている。ナマケモノの毛皮の中で生きるのは藻類だけではない。2014年、ナマケモノの毛皮にしか住まない蛾が発見された。ナマケモノは1週間に一度だけ地上に降りて用を足す。その際、メスの蛾が毛皮から出てきて、フンの中に卵を産む。孵った蛾はナマケモノの毛皮まで飛んで来て交尾する。自然ってすごい。
(National Geographic) |
ところで、トイレ中のナマケモノは表情がめちゃ可愛い。たとえば、この動画はナマケモノ孤児院でのトイレ訓練風景。あまりにも幸せそうで、心が癒されること請け合い!
(参考資料:National Geographic "Bats and Sloths Don't Get Dizzy Hanging Upside Down-Here's Why")
【関連ウェブサイト】
National Geographic
Organisation for Bat Conservation
Smithsonian National Zoological Park
【関連記事】
「聖なる」サルは、とんだイタズラもの バリ島 (2014年5月31日)
負傷イルカ、人間に助けを求める すごすぎ映像 (2014年4月4日)
働くアフリカのネズミたち 地雷撤去のヒーロー (2014年3月3日)
親友は身長2メートル 「キリン乗り」の特訓中 (2012年9月15日)
「捨て犬を救え!」 世界を飛び回る雑種犬「オスカー」 (2012年4月20日)
絶滅の危機 ヒキガエルに愛の手を (2010年8月11日)
0 件のコメント:
コメントを投稿